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コラム

隠れた風景を求めて — 城崎温泉の街角と温泉街散歩

大谿川(おおたにがわ)沿いに揺れるしなやかな柳並木と、浴衣姿の旅人たちが行き交う賑やかな通り。それは、誰もが思い描く城崎温泉の美しい定番の風景です。

しかし、この1300年の歴史を持つ温泉街の魅力は、表通りだけにとどまりません。メインストリートから一本奥の路地へ足を踏み入れると、そこには静かな暮らしの気配や、文化の薫りが漂う「隠れた風景」が広がっています。

今回は、温泉街の中心にありながら静かな時間を紡ぐ宿「しののめ荘」を拠点に、あなただけの特別な景色を見つける、城崎の街角散歩をご提案します。

表通りから一本奥へ。路地裏で出会う町の素顔

しののめ荘は、城崎温泉の主要な外湯や通りへアクセスしやすい中心街に位置しながら、メイン通りから一本入った静かな場所に佇んでいます。この絶好の立地は、宿の玄関を出てすぐ、予定調和ではない「気ままな散策」を始めるのにぴったりです。

外湯へ向かう人々の流れから少し外れ、細い路地を歩いてみましょう。そこには、昔ながらの木造建築や、地元の人々に愛される小さなお店など、温泉街の外側に広がる穏やかな“暮らし”の息づかいがあります。

「あの細い道の先には何があるだろうか」「この行灯の灯りはどこへ続いているのだろうか」。そんな小さな好奇心に身を任せて歩くことで、観光地という枠を超えた、城崎という町そのものの素顔に出会うことができるのです。

文豪たちが愛した「文学の町」の面影をたどる

城崎の街角を歩く楽しみのもう一つは、この地が古くから多くの文豪に愛されてきた「文学の町」であることに触れる時間です。

町内を注意深く歩いてみると、そこかしこに23を超える文学碑が点在していることに気がつきます。外湯めぐりの合間に、少し足を伸ばして文芸館や路地裏の小さなギャラリーを訪ねてみてください。

古い建物が並ぶ静かな通りを歩きながら、かつてこの町に滞在した作家たちがどのような風景を見て、どのような想いで筆を執ったのかに思いを馳せる。

ただ温泉に浸かるだけではない、温泉旅特有の“湯けむり越しの文化”に出会うことができるのも、城崎散歩の奥深い魅力です。

時間と季節が織りなす、一期一会の景色を探して

城崎の町は、歩く時間帯や季節によって、劇的にその表情を変えます。同じ路地や橋のたもとでも、決して同じ風景にとどまることはありません。

夕暮れ時、川面や水路にポツリポツリと行灯(あんどん)の灯りがともり始める時間帯は、町全体が薄明かりに包まれ、散策に最もふさわしい情緒を生み出します。

下駄の音が石畳に軽く響き、足元には長く伸びた自分の影と、立ち上る白い湯気が交差する。

また、新緑が眩しい春、深い影を落とす夏の夜、紅葉に染まる秋、そしてすべてを白く覆い隠す冬の雪景色。訪れるたびに異なる「隠れた風景」を見せてくれる城崎は、何度でも歩きたくなる不思議な引力を持っています。

散策の終わりは、静寂に包まれた「しののめ荘」へ

好奇心の赴くままに歩き回り、心地よい疲労感に包まれた後は、散策の拠点である「しののめ荘」へ帰りましょう。

賑やかな外の「動」の時間から、宿の玄関をくぐった瞬間に訪れる「静」の空間への切り替え。この安心感こそが、しののめ荘に滞在する最大の贅沢です。

歩き疲れた身体を、天然温泉の岩風呂やプライベートな貸切風呂でゆっくりとほぐし、地元の食材をふんだんに使った会席料理で胃袋を満たす。

食後は、畳の上で足を伸ばし、今日見つけた小さな路地やギャラリーの景色を静かに振り返る。

このように、町歩き、温泉、食、そして宿での安らぎをひと続きの滑らかな流れとして楽しめるのが、しののめ荘を拠点とした旅の真髄です。

おわりに ― 歩くことで深まる城崎の旅

名所を急いで回るのではなく、寄り道を楽しみながら、自分だけの隠れた風景を見つける旅。

しののめ荘から始まる城崎散歩は、あなたをただの観光客から、“町の一部”になったような心地よい錯覚へと導いてくれます。

次の休日は、少し視線を落として路地裏を歩き、新しい城崎の魅力に出会う静かな旅へ出かけてみませんか。

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