浴衣でめぐる七つの外湯、和のしつらえで眠る夜 — 湯と宿をつなぐ旅

城崎温泉の心地よさは、宿の中だけで完結するものではありません。町全体を一つの大きな宿と見立て、浴衣姿で石畳を歩き、情緒豊かな外湯をめぐる。そして心地よい疲れとともに、静かな和の宿へと帰っていく。この「町と宿」が滑らかにつながる体験こそが、城崎温泉の旅の本質です。 今回は、温泉街の中心にありながらにぎわいから一歩離れた静寂を守る宿「しののめ荘」を拠点に、外湯めぐりの躍動と宿での穏やかな安らぎが美しく調和する、極上の湯旅をご紹介します。
【町】浴衣と下駄を相棒に、七つの外湯をはしごする悦び
城崎の駅に降り立ち、しののめ荘にチェックインしたら、まずは日常の服を脱ぎ捨てて浴衣に着替えましょう。しののめ荘では客室アメニティの浴衣のほか、女性宿泊客向けに色鮮やかな「柄浴衣」の貸出サービスも用意されており、お気に入りの装いで町へと繰り出すことができます。
カランコロンと心地よい下駄の音を石畳に響かせながら、大谿川沿いの柳並木をそぞろ歩く。そこには、個性豊かな七つの外湯が点在しています。 例えば、全面が露天風呂になり滝や山の借景が美しい「御所の湯」や、玄武洞を模したレトロな佇まいが魅力の「地蔵湯」、そして最古の湯として静かな露天風呂を備える「鴻の湯」など、それぞれの湯が異なる趣で旅人を迎えてくれます。 温泉街の中心に位置するしののめ荘は、どの外湯へもアクセスしやすい絶好の立地にあります。湯上がりに夜風を浴び、行灯(あんどん)のあたたかな灯りに導かれながら次の湯へと歩む時間は、この町ならではの贅沢です。

【食】但馬の自然が育む美味を、静かな空間で心ゆくまで
外湯めぐりを終えて宿に戻ると、旅の大きな愉しみである食の時間が待っています。しののめ荘の夕食は、但馬や城崎の肥沃な大地と豊かな海が育んだ、地元食材をふんだんに取り入れた会席料理です。

冬には身が詰まった極上の「松葉ガニ」や焼きガニ、春から秋にかけては瑞々しい「紅ズワイ蟹」や、赤身の旨味と脂のキレが見事に調和する地元の誇り「但馬牛」が食卓を彩ります。さらに、地元農家から直接届く新鮮な野菜や、但馬の風土で丁寧につくられたお米が、一皿一皿に調和を添えてくれます。 余計な騒がしさのない、落ち着いた客室やお食事処の空間で、冷たい地酒とともに地の恵みをゆっくりと味わう。一口ごとに身体が満たされていくような感覚は、温泉でほぐれた心身に一層の深い幸福感をもたらしてくれます。
【宿】中庭の錦鯉と天然温泉、静寂の和室に抱かれて眠る
食事の後は、しののめ荘が何よりも大切にしている「静けさ」と「木の温もり」に満ちた館内で、深いやすらぎの時間を過ごしましょう。
客室は、い草の香りがやさしく漂う伝統的な純和室(最大20畳の広々としたお部屋も完備)を中心に、モダンな快適さを備えた和洋室、2022年秋にリニューアルされたプライベートな湯浴みを愉しめる陶器風呂付き客室など、多様なニーズに寄り添う空間が整っています。 湯上がりに廊下を歩けば、足元にガラス床が設えられた場所があります。ガラス越しに、中庭の池を優雅に泳ぐ錦鯉の姿をぼんやりと眺める時間は、心に心地よい「余白」を生み出してくれます。
さらに深く心身を癒やすなら、館内にある天然温泉の「岩風呂」や、プライベートな「別館貸切風呂」へ。美肌効果や保湿性が高いとされる温かい塩化物泉にただ静かに身を沈めれば、外湯の賑やかさから完全に切り離された静寂の中で、心身の緊張が自然とほどけていきます。そして、畳の上に横たわり、心地よいまどろみの中で深い眠りへと落ちていく——これこそが、しののめ荘で過ごす夜の最大の贅沢です。

おわりに ― 町と宿が溶け合い、心と身体を調律する
浴衣をまとい、情緒ある温泉街を歩き、地の恵みを味わい、最後は静寂な和室で眠りにつく。しののめ荘を拠点にする旅は、単に有名な観光スポットを忙しく消費するだけの旅ではありません。 外の賑やかな「動」の時間と、宿の静かで穏やかな「静」の時間。その両方がひとつの滑らかな流れとなって、あなたの心と身体を健やかな状態へと優しく調律してくれます。
次の休日は、浴衣と下駄を相棒に、湯と宿が美しくつながる城崎温泉・しののめ荘へ、心ほどける大人の旅に出かけてみませんか。